日本車にはクラシックカーはない?

次々と新しい排ガス規制が敷かれ、ガソリン車が姿を消そうとしている昨今、古き良き時代のクラシックカーに対する関心が高まっています。
電動化された車だけの時代になればエンジンで走る車は消滅してしまうので、それを惜しむファンが急増しているということだと思います。
ところが、厳密に言うと日本には「クラシックカー」というものは存在しません。

クラシックカーというのは北米で主に使われている言葉で、1948年以前に製造された車がクラシックカーと呼ばれています。
例えば1952年に設立された、由緒あるクラシックカーのファンクラブである「クラシック・カー・クラブ・オブ・アメリカ」の場合、クラシックカーと定義されるのは1915年から1948年の間に製造された車のみということになります。
この概念に沿って言えば、日本にある中古車はあくまでも「旧車」あるいは「中古車」であって、クラシックカーには分類されないことになります。

強いて言えば、TOYOTAが最初に量産した1936年生まれの「トヨダAA型」や、1933年に製造がスタートした、NISSANのルーツともいえる「ダットサン12型」などを日本のクラシックカーと呼ぶことができるでしょう。
TOYOTAの「2000GT」やNISSAN「スカイラインGT-R」、MATSUDAの「コスモスポーツ」などは、日本ではクラシックカーやヴィンテージカーなどと呼ばれていますが、製造はいずれも1960年代ですので世界的に見ると単なる中古車としての扱いになってしまいます。

クラシックカー・ヴィンテージカーの定義とは

クラシックカーという言葉はアメリカで使われることが多いのに対して、イギリスでは「ヴィンテージカー」という言葉が好んで使われています。
イギリスには、ヴィンテージカーの愛好家が集まる有名なクラブ「ヴィンテージ・スポーツカー・クラブ」というものがあります。
1934年に結成された由緒あるヴィンテージ・スポーツカー・クラブでは、1930年以前に作られた車のみがヴィンテージカーと呼ばれるという決まりがあります。

この規則からすれば、日本には1930年以前に作られた国産車というのはありませんので、ヴィンテージカーは全く存在しないことになります。
いずれにせよ、ヴィンテージカーとクラシックカーの明確な区別というものはなく、それぞれのクラブによって規定が異なっているようです。
ちなみに、アメリカ運輸省では製造から25年を経た車を「クラシックカー」と定義しています。
日本でこれらの単語を使用する場合、基本的には1930年~1940年を目安に製造された外国産車が該当すると考えれば良さそうです。